秋津野未来への挑戦−体力は持つか、知力は大丈夫?とにかく、あの公民館は忙しい

●体力は持つか、知力は大丈夫?とにかく、あの公民館は忙しい

  上秋津公民館は、田辺市に16館ある地区公民館のひとつである。スタッフは地域から選ばれた館長と公民館主事の2人、主事は市の職員である。現在主事をつとめる鷹巣正幸さん(1972年生)は、田辺市新庄町の出身。2000年春の人事異動で上秋津公民館への異動が発表になったとき、同僚らは言った、「がんばれよ」。(あそこの公民館はえらいで)、言外にはそうした意味がふくまれていた。そのとおりだった。確かに、忙しい。

 上秋津公民館が2001年度(平成13年度)におこなった公民館事業は、50を数える。生涯学習の推進、人権学習の推進、生涯体育の推進、そして各種の事業活動という4本の柱のもと、4月から翌年3月まで、実施した事業名が間断なく(けっして大げさではなく)並ぶ。
 2001年度の収入は(収支決算書)「社会教育費」として1戸あたり300円、各世帯から集める金と、愛郷会からの助成金、そして田辺市からの敬老費を主とする“補助金”など約180万円あまり。これにたいし支出も同じくらいで、敬老会のほか各イベントなどに使われ、翌年度に繰り越す金もあった。「金がないのに、よくやっている」、と住民は言う。これも、主事と館長のウデの見せどころだ。


 上秋津地域には、視察の団体の訪問が絶えない。最近は1か月に平均2件程度、2003年は4月から11月までの8カ月に20件近くあった。九州、四国、関東、県外からの視察が多い。
 目的は、秋津野塾を中心とする地域づくりの現状と、公民館の機能を知りたいという内容のものが圧倒的だ。上秋津では、公民館は秋津野塾の事務局的な役割を果たしている。鷹巣さんと館長の二人は、そのつど対応に追われる。大変ですね、と声をかけた。鷹巣さんから返ってきたのは、「慣れました」という答だった。公民館とは地域の期待に応えるところ、笑顔はそう語っていた。