秋津野未来への挑戦−2004年春に加工場が完成、拠点充実で事業を拡大

●2004年春に加工場が完成、拠点充実で事業を拡大

 2004年春、秋津野直売所の敷地内に加工場と倉庫が建設される。加工施設は木造で費用は約1500万円、和歌山県の山村定住促進事業などの制度を活用する。
 直売所の業績は、これまで右肩上がりの成長を続けてきた。出荷する生産者、そして売り上げも順調に伸びている。出資者は、2004年1月現在、68人となった。うち半数は非農家のひとたちである。しかし、笠松さんらはいまのまま業績が伸び続けるとは考えていない。いつか、「頭打ち」になるときがくることを警戒する。

 自前の加工場を持つことは、これまで関係者の懸案であった。新しい施設はミカンとウメを中心とした加工品づくりの拠点になる。豊富なミカンを使った生ジュースなど新商品の開発が研究中だ。
 また、消費者のきびしい目に耐えることができる、品質がよい商品を提供していくことは言うまでもない。旬のものを、もっとも新鮮で美味しい状態でいかにして消費者の手もとに送り届けるか。
 生産者によって出荷商品の品質にばらつきが見られるケースもある。現実に、直売所を訪れた消費者が、出荷している生産者の名前を確認して買っていく光景が見られる。消費者の選別にどのように応えていくか、生産者の顔が見える直売所の“命題”だ。笠松さんは、「一層充実に努め、地産地消を推進し、食の安全性についてもP R していきたい」と言う。地元の小中学校の給食にミカンにつづき、ほかの作物も使ってもらうよう働きかけていく方針だ。
加工場は、こどもから大人までが加工体験ができる施設にもなることが決まっている。