秋津野未来への挑戦−地域づくりのセンターとして疾走する秋津野塾

@地域の生活課題に取り組む

 1990年代に入り人口が急増、最近の10年間で約400世帯も増えた上秋津。都市化が進む田園地域で、住民同士の交流は大きな課題である。
 秋津野塾に加盟する各団体の代表に、新しく上秋津の住民となったひとたちが増えてきた。交流は少しずつ広がっていると、関係者は話す。しかし、町内会に未加入の住民も少なくはなく、交流から融合へと変わっていく途上にあるのが現実だ。

 人口の高齢化も、都市化とともに、地域づくりを進めていくうえで取り組まなくてはならないテーマである。「高齢者が家に閉じこもるのではなく、外に出て楽しめるような場を持つことが大事だ」、と秋津野塾長楠本健治さんは話す。そのため、秋津野塾では「寝たきり老人はつくらない」のスローガンのもと、「いきいき健康増進事業」を展開している。高齢者のための定期的な健康相談や公民館のサークルなどと協力しての生涯学習、こどもたちとの交流、さらにレクレーション活動と、地域独自の「高齢者対策」を実施している。高齢者が行事をはじめ地域活動に参加し、地域社会のなかで“居場所”を確かめられるにはどうすればよいか、取り組みに知恵を絞る。

 「高齢者の健康で安心な暮らしを、地域全体でささえていくような態勢づくりが必要だ」、と楠本さんは指摘する。高齢者の生活実態の把握や家庭訪問だけではなく、「体が不自由だったり、買い物に出かける手段がない高齢者宅への昼食の配達」など、行政の手が届かないところでひとの顔が見える「安心ネット」づくりはこれからの課題だ。高齢者問題も、こどもと教育の問題も「地域の教育力、地域の力」が試される。
 
「農村地帯上秋津を衰退させてはならない。農家が疲弊しないような地域をつくっていく必要がある」、楠本さんは繰り返し言った。地域づくりは、農業経営が安定し、しっかりした農村があってこそだというのである。

取り組んでほしい今後の活動 秋津野塾活性化への方策